5年生が重要

 

中学受験の算数では、急に内容が難しくなる時期があります。
四谷大塚の予習シリーズで言えば「5年下」からです。
5年の夏休み明けから使うテキストですが、この教材に載っている内容は6年生に向けて、とても大切な分野が詰まっています。
ここをしっかり理解できれば6年生になっても苦労はしないでしょう。
算数においては、5年生の後半が天王山だと言って良いのです。
これから、速さ、比、割合、規則性、図形を具体的に見ていきましょう。


<速さ>
単に速さの3公式を覚えただけでは、速さの問題を十分に解けるようにはなりません。
まず速さを解くには、単位の換算が正しくできることが必要になります。
秒速と分速と時速と、cmとmとkmの換算です。
まず、分速で考えるべきなのか、時速なのか、それとも秒速が良いのかを考えます。
そして、メートルとキロメートルも考えなくてはなりません。
その上で、速さの3公式を使うのです。
難しいのが、道のり、速さ、時間という3つの条件がどうなっていて、どれを糸口に解いていけば良いのかということです。
文中に隠れているヒントを手がかりに道筋を立てます。

動いている方向、速さの差、2人の間の道のりなどをまとめていきましょう。
この場合も線分図やダイヤグラムを描いて、頭の中で具体的なイメージを描いていきます。

[速さの典型問題]
(   )m離れたAとBの間を太郎君と花子さんが同時にAを出発して1往復しました。
2人が出会ったのはBの手前60mの地点でした。
この時太郎君の速さは毎分130m、花子さんの速さは毎分120mでした。

これは5年生で学習する基本問題です。
まず太郎君の方が速さが速いので先にBに着くはずです。
それから折り返してきて、Aに戻る途中で花子さんと出会うわけです。
それが文章から判らなければこの問題は解けません。
1分あたりどれくらいの道のりの差が生じて、Bの60m手前で出会ったのでしょう?
また、出会うまでの太郎君と花子さんの歩いた道のりの差はいくつでしょう?

太郎さんはAB間より60m多く歩き、花子さんはAB間より60m少なく歩いているので、
2人の道のりの差は120mと判ります。
1分で10mずつ差がつくので、2人は12分歩いたことが判りますね。
したがって、

130×12−60、もしくは、120×12+60 ・・・答えは1500mとなります。

一見難しそうですが、着眼点さえ分かれば、すぐにできるようになります。

 

<比>
比は中学受験の算数で極めて重要です。
また、比はとても便利でありますが、多くの受験生がつまづきやすい分野であります。
しっかりと線分図や面積図を描いて、比の基礎を完璧にマスターしましょう。
比を使いこなせるようになると、文章題も図形も含め幅広い分野で使えます。
一気に応用問題が解けるようになります。
しかし、小学生には難しい分野となります。

比の分野では、「逆比」についても学ばなければなりません。
「3:4の逆比」を答えられても、「3/5:4/7の逆比」や「Aの3/11倍とBの5/9倍が等しいときのA:B」などは混乱しやすいところです。
まずは逆比の考え方を教えなければ、まず理解できないでしょう。
「面積の等しい2つの長方形の場合、たての長さの比と横の長さの比は逆比になる」というところから説明しましょう。
これをイメージできれば、逆比の基本的な考え方は理解できます。
間違っても機械的な解法を教えないことです。
それでは受験本番ではまず使い物になりません。


<割合>
割合も、受験算数に必須の重要な分野です。
割合の意味をまず確実に理解させましょう。
子供は割合の感覚が未発達なので、教え方もなかなか難しいのです。
また、普段使わない言葉もたくさん出てきます。
「割」や「%」、「原価」「定価」「売り値」「利益」などがそうです。
割合の原理を学んでから、相当算や売買算などの複雑な分野へと進むために、割合の導入は丁寧に教えましょう。
いずれの場合も、「元の量」と「くらべる量」の関係であることには変わりありません。

割合の基本が理解できたら相当算などをやってみましょう。
元の量を「1」として考える問題は、頻出問題です。
売買算では、物を仕入れてから売って利益を得るという一連の流れを最初に理解させます。
また、割合の問題では文章の読解力も求められます。
「〜の」とか「〜に対する」などの表現を理解させましょう。
売買算では特に線分図を必要とするので、線分図を自力で描けるようにしましょう。


<規則性>
文章を図や表にして考え、その表の先を調査します。
描いた表を元にして、どういった規則で数字が並んでいるか、さらに隠されたところを推理します。
まず、図を描く時は大きくはっきりと描きましょう。
そして、図の中に判っていることを順に書き込んでいきましょう。
また図を描く時は、何を描いているのかを意識しながら描きましょう。
そういった細かい作業が重要になります。
何も考えず単に数字を並べるのではなく、規則性を意識しましょう。
「6の倍数ずつ」とか「2乗」の周期になっているとかです。
また、横やたてに並んだ規則性だけでなく、斜めであったりとあらゆる角度から観察することが求められます。
規則性は「解き方」を覚えさせるのでは限界があります。
規則を自分で見つけ出せる力がなければ解けないのです。
習うより慣れろ、です。
ただ、一旦得意分野にしてしまえば、得点源となる分野でもあります。


等差数列の公式をご紹介します。

S番目の数を求める
・はじめの数 + 等差 × (Sー1)

等差数列の個数を求める
・(終わりの数 − はじめの数) ÷ 等差 + 1

等差数列の和
・(はじめの数 + 終わりの数) × 数の個数 ÷ 2

公式に当てはめて機械的に解くのは6年生になってからにしましょう。
5年生では、公式を使わずに解けるように、イメージ力を養いましょう。
「どうして最後に1を足すのか」「どうして最後に2で割るのか」などは、イメージが重要です。
等差数列はともかく、等比数列は公式だけでは対応できないからです。


<図形>


〜平面図形〜
平面図形を学ぶ時は、まずテキストに載っている平面図形を模写してみましょう。
実は、それはとても意味がある重要なことなのです。
その中にどんな図形が隠れているか、長さの等しい辺や同じ角度など、模写することで何かとヒントを見つけることができます。

また図形問題を得意にするにはまずは直感を磨く必要があります。
公式を使ってそのまま答えが出せるような問題は、図形では見られません。
色々な知識を組み合わせて解くのです。
公式はあくまでも解答を出す際の一手段にすぎません。
図形を見て解法までの道筋を導き出す直観力を育てなくてはなりません。
中堅クラスの中学では平面図形を求積させる問題が多く出ます。
コツさえつかめれば得点源になります。

〜立体図形〜
立体図形の分野に入ると、多くのテクニックを覚えなければなりません。
また立体を頭の中で想像し、展開させたり移動させたりすることが求められます。
単純に体積や表面積を求める問題は中堅校でもあまり出題されません。
見取図、展開図、投影図などにより立体を想像していくような問題が中心です。
また体積を求める問題では、水道から流れ出る水の量の変化をグラフで捉える問題が入試問題として頻出です。

 

 

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