過去問に取り組む

 

「過去問は6年生の夏過ぎから、志望校のものは5年分を5回やりなさい」という塾もあります。
一方で、「11月まで手を出さなくて良い」という塾もあります。
私の経験では、11月からで遅すぎないと思います。
特殊でクセのある問題を出す学校を受ける場合を除き、そこまで過去問にこだわる必要はありません。
全く同じ問題が出るはずがありませんから。
とは言っても、傾向というのはやはりあります。
過去問はやはり何回か反復してやらなければなりません。

第二志望であっても過去問を全くやらないというのも問題があります。
過去問をやる意義をもう一度整理してみます。

 

[過去問に取り組む意義]
@出題傾向に慣れる
A取りこぼしていい問題といけない問題を選別する
B時間配分をできるようにする


[過去問に取り組む利点]
@自分の実力を把握できる
A何が不足しているかを明確にできる(今後の方針に役立つ)
B自信がつく

 

中学入試の対策として過去問に取り組むことは避けて通れません。
ただ、先述の通り、やたらと時間と労力をかけてはいけません。
目安としては11月に入る頃に直近3年分の過去問を解いてみて、実力をみましょう。
足りない部分はどこなのか?
あまりにできない場合は、すぐに解き直しをする必要はありません。
できない単元をテキストで復習し、年末年始に集中してもう一度過去問にチャレンジしましょう。


志望校によって過去問をやる回数を決める
第一志望の過去問は、何度も何度も反復して完全に解けるようになるまで繰り返しましょう。
また、取りこぼせない問題と、どうしても解けそうにない難問とを区別し、合格点に届くのに合理的な時間配分を考えます。
時間をかけてじっくり解くべき問題なのか、それとも思い切って捨ててしまうべき問題なのかの見当をつけるのです。
第二志望の過去問は2回やれば十分です。
間違えた問題を解き直して、間を置いてもう一度やれば十分です。

ただし、第一志望の「傾向を探る」ことは必ず行ってください。
親が過去問の内容をよく分析し、傾向をつかむ必要があります。
過去問の巻頭に出題分野の頻度が掲載されていますが、大雑把な分類になっているので、より細かな分野に区分けして見てみてください。
同じ比の問題でも、図形なのか速さなのかを明確にしてください。
差集め算が出やすいにしても、どのレベルが出るのか、などです。
そこまでの細かいチェックはお子さん一人ではできません。
お子さんの学習状況を理解している親御さんだからこそできることなのです。

 

過去問の点数の目安
小6の秋に過去問を解いた時、どれくらいの点数が必要なのでしょうか?
それは志望校の過去問に載っている「合格最低点」で判ります。

算数は合格最低点の9割くらい必要かと思います。
国語は短期間で実力を上げるのが難しいのいで、合格最低点に達しているのが理想です。
暗記的要素が強い理科と社会8割程度でも、逆転可能です。

4科目合計で合格最低点の8割以上取れていれば受験に間に合うことでしょう。
ただし、8割に満たないとなると、厳しいと思います。
例えば、国語が極端に悪い場合、志望校の変更が必要かもしれません。
また、学校によっては、極端に低い科目があると不合格になるので、注意が必要です。
いずれにせよ、年末までには合格最低点に達しておきたいところです。


「過去問は○月から□年分を△回解く」という鉄則はありません。
私としては、「年末までに第一志望の過去問を、5年分を3回は必ず解いてください」とアドバイスします。
それで、合格最低点+αあれば御の字です。
それ以上やっても時間が無駄になりかねないので、できなかった単元をテキストで復習していってください。


過去問を解く場合

・制限時間内にできるか時間を計りながらやる
過去問は毎年の傾向を知るためにとても重要です。
また、合格最低点までの距離を知るためにも重要です。
実践的に過去問を使うべく、正確に時間を計りながら解いていきましょう。
あくまでも正確な時間の中でやってこそ、自分の実力が判るものです。
4教科を受験当日と同じ時間帯で一気に解いてみると、受験本番の疲労感も判ると思います。
4教科目は、かなり疲れることと思います。

 

・まとめてやらない
合格の可能性を正確に捉えるには、模試の偏差値ではなく過去問の得点の方がかなり正確です。
11月に過去問を2年分やったとすると、12月、1月用に数年分は残しておきましょう。
12月に初見の過去問で合格最低点取れればこんなにめでたいことはありません。
実際に願書を提出する前に、実践さながらに過去問を解いて、合格できそうなのか見定めて、志望校を選んでください。


・合格最低点が取れても安心しない
模擬試験より過去問のほうが合格可能性を図る上で正確ですが、やはり本番は違うので、過去問で合格最低点がとれたからといって安心しないでください。
これまでの苦労がたった数時間で判断されるわけなので、プレッシャーは相当なものです。
自宅学習の時と同じような実力を出せるとは、考えない方が無難です。
それから、自分で採点すると甘くなる、ということも気にしましょう。
例えば国語の漢字を採点する時、パッと見て間違えてなさそうなら「○」としてしまいがちです。
しかし、入試では「トメ」「ハネ」まできちんとチェックが入ります。
厳しい目で採点しないと、本番と同じ点数にはなりません。
記述問題なども注意して採点してください。
受験では、自分に厳しくすることが求められるのです。

 

過去問集は色々とありますが、できるだけ解説が豊富なものを選んでください。
私が良いと思うのは「声の教育社」の過去問で、解りやすい解説で定評があります。
  

 

 

 

 

 

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